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9PROJECT vol.2「生涯」

作/つかこうへい  演出/渡辺和徳
出演/小川智之・岩崎祐也・新澤明日・高野愛・松本亮・木村佐都美・松岡真史

日程/2015年9月29日〜10月4日
会場/劇場MOMO
料金/3,500円(前売当日とも)

ABOUT

「生涯」は、つかこうへいが1975年に劇団青俳のために書き下ろした作品です。公式な上演記録はその一度のみ。つかこうへい自身の演出による上演記録はありません。もちろん私たち自身、上演作を見たことはありませんし、資料も全くと言っていいほど残っていません。

なぜ、あえて知らない作品に挑戦するのか? それはひとえに「おもしろいから」に他なりません。「熱海殺人事件」や「蒲田行進曲」といったメジャーな作品は、もちろん確かな名作であり、今なお数多くの劇団が上演し続けるのも当然と言えます。

しかし、つかこうへいという作家の持つ「おもしろさ」は、それらのメジャーな作品の中にしかないのでしょうか。私たちはそうは思いません。むしろ初期の作品の中にこそ、それらの作品に通じる「おもしろさ」の全ての原点があると思うのです。それを知りたい、確かめたい、そして伝えたい。今なお変わることのない普遍的な面白さを持つ作品がたくさんあることを、観に来ていただいた皆さんと共に経験したいのです。

つかこうへいという作家の特徴は、「口立て」という独特の作劇法とともに語られます。机の上で作品を書き上げて稽古に臨むのではなく、稽古場に立つ役者にその場でセリフをつけ、役者の肉体と一体になって一つの作品を作り上げていく方法論です。それは“つか芝居”と呼ばれる独特のエネルギーを生み出すと共に、その瞬間のその役者でしか描けない作品を生み出すという、稀有な演劇体験をもたらしましたが、同時に残された戯曲を他の役者が演じる際には大きな困難を伴うことになりました。なぜなら、それは当て書きと呼ぶにはあまりにも強烈な、“瞬間”に特化したセリフであるからです。別の時代を生きるべつの役者には、その再現は不可能に等しいのです。

しかしながら、この「生涯」は他劇団への書き下ろし作品という性格上、特定の役者に固定化されたセリフではありません。私たちは、この作品に対し、純粋に戯曲として向き合うことができるのです。そこに、この作品を上演する大きな価値があると考えています。

ほとんど上演されたことのない、初期の、しかも書き下ろされた作品。生前、私たちが経験してきた作品とは、まったく趣の異なるこの作品に挑戦することは、私たちにも、そして皆さんにも、得難い価値を与えてくれるものと信じています。

つかこうへいの晩年の作品を生きてきた私たちが挑む、最初期の作品。どうぞご期待ください。

STORY

「これまで必死に生きてきたんだ。死に際でトチってたまるかよ」

家族をわずらわせることなく、ポックリ死ぬことを願う老人・岡山八太郎。自分の葬式を彩るテーマソングを作曲家の息子に依頼するが、息子が作ってきたのはどうにも気の抜けた楽曲ばかり。ご近所の年寄りたちを集めたポックリクラブの予行演習で見事に失敗し、笑い者になる。その屈辱にもめげず、八太郎は嫁・ゆみ子の協力も得て、後ろ指さされることのない死を突き詰めてゆく…。

後ろ指さされることのない死を目指す老人が、息子と嫁とともにあえて老醜を晒す生き方を突き詰めていくという物語は、つかこうへい独特の不条理な笑いを呼び起こしつつも、同時に死を前にした人間の生き様やその家族のあり方を鋭く描き出していきます。

STAFF

舞台監督/伊澤玲
照明/清家玲子
音響/葵能人(ノアノオモチャバコ)
宣伝写真/堀内亮太
楽曲制作/tonal expressions(石川勝暁 棚橋歩)

協力/(株)つかこうへい事務所

「生涯」という作品…(演出:渡辺和徳)

今まで見たことのない、つかこうへい初期の作品。実際、この「生涯」という作品は、たった一度しか上演記録がなく、しかもつかさんの演出は一度もないということもあって、往年のつかファンでもこの作品を見たことのある人は少ないのではないでしょうか?存在すら知らない人も多いでしょう。
でも、おもしろい。
いや、こんなにおもしろいのは久しぶりだというくらい、おもしろい。

くだらない言葉に大笑いしたかと思うと、強烈な言葉が胸に突き刺さってくる。一筋縄ではいかないセリフの応酬。不条理な展開と、だからこそ描き出される真実…。

ああ、これこそ、つかこうへいの作品だ、と実感しています。

主人公は、還暦を過ぎた舅。誰にも迷惑かけずにポックリ死ぬという《高い志》を持ったお年寄りたちのクラブ、ポックリクラブに所属しています。そして自分たちの死に際を飾る、ポックリソングを自分の息子である夫=正雄に依頼するのですが、見事に外した曲を作ってしまい、葬式の予行演習で大恥をかいてしまいます。なんとか正雄にいい曲を書いてもらおうとするのですが、正雄は父親の行動をバカにするばかりで、まともに向き合おうとしません。舅は正雄の嫁と共により良い死に様を目指していくのですが果たして…。

息子により良いポックリソングを書かせようとする様は、大山をより良い犯人に育てようとする「熱海殺人事件」の木村伝兵衛たちの姿に重なりますし、ポックリ死ぬことを目指しながら死にきれない舅は、「初級革命講座 飛龍伝」を思い出させます。家庭における居場所と権威を失ったお父さんが自分の生きる意味を追い求めるという点は、「戦争で死ねなかったお父さんのために」や「出発」との共通点を感じます。

1975年という年代を考えると、この作品は、書き始めたばかりのつか作品と、その後に続くたくさんの名作たちとをつなぐ、中継地点のようなものなのでしょう。

たぶん、今、「生涯」などという作品に目を向けて、上演しようなどという物好き(笑)は僕たちくらいでしょうから、これが最後の機会になるかもしれません。ぜひ、見に来ていただきたいと思います。

小川智之

小川智之

岩崎祐也

岩崎祐也

新澤明日

新澤明日

高野愛

松本亮

松本亮

木村佐都美

木村佐都美

松岡真史

松岡真史