9PROJECT vol.13「熱海殺人事件」
– 1973初演版 –

作= つかこうへい
演出= 渡辺和徳
出演=高野愛・小川智之 他

日程=2020年11月11日[水]〜15日[日]
会場=theater新宿スターフィールド
席種=自由席
料金=一般 3,500円 / 学生 2,500円 (前売当日とも)


すべての「熱海」の原点、再び。

これは警視庁にその人ありといわれた「くわえ煙草伝兵衛」こと木村伝兵衛部長刑事と、熱血捜査官熊田刑事の心あたたまる感動の物語である。

 これは1975年に新潮社から刊行された「熱海殺人事件」の初演版戯曲に書かれた最初の一行です。数あるつか作品の中でも今なお圧倒的な人気を誇り、上演され続ける「熱海〜」シリーズではありますが、この一行を知っている人は少ないのではないでしょうか。1973年に文学座で初演、翌1974年には岸田國士戯曲賞を当時最年少で受賞、つかこうへいの躍進はこの一冊の戯曲から始まったと言っても過言ではありません。その後、無数のバージョンが作られてきましたが、今この“初演版”が上演されることは極めてまれです。

 これまで9PROJECTでは「ストリッパー物語」「生涯」「かけおち」「出発」など、70〜80年代のつかこうへい作品を上演し続けてきました。口立てで作られた戯曲にはト書きがほとんどなく、解釈も容易ではありません。しかし私たちは戯曲に一切の脚色をすることなく、ただ真摯に“文字”に向き合っています。決して“つか芝居”の型にはまることなく、どんな表現が可能かを模索し続ける…。つかに直接師事したメンバーだからこそ、一度自分たちの常識を引き剥がして戯曲に向き合うことは“つかこうへい”を理解する上で非常に重要であると私たちは考えています。

「たとえ何十年たとうと、『熱海』は『熱海』の力強さを決して失わないと断言できる」とは、つか自身の弁です。この初演版で、今改めてその“力強さ”を再確認したいと思っています。


演出より

 2018年にこの「熱海」に挑戦した時ほどの衝撃は、これまでの演劇人生の中で一度もなかったと言っていいでしょう。それほどに、この戯曲は恐ろしい。

 これほどの面白さが、これほどの奥深さが、一つの作品の中に内包されていることは信じがたいことです。正直なところ、なぜこの作品を、以後のつかこうへいがあれほどに書き換えていったのか、理解できないほどです。もちろんそれは、どんなに書き換えても「熱海」の骨格は崩れないという自信があったからこそなのかもしれませんが。

 上演直後から「またやろう」という話はメンバーでしていました。しかし、すぐにやったのではさらなる進化は難しい。そこで、一年半という時間をあけての再挑戦となりました。

 次にこの作品に向き合った時、いったいどんな景色が見えるのか…。今から楽しみにしています。

演出 渡辺和徳


構成・演出/渡辺和徳

1978年、東京都生まれ。
北区つかこうへい劇団に入団後、つかこうへいに文才を認められ、氏のもとで作・演出を学ぶ。
2003年、少年隊ミュージカル PLAYZONE「Vacation」で脚本業を開始。以降、演劇作品の脚本、演出を数多く手がける。

【つかこうへい原作作品】
「二代目はクリスチャン」「広島に原爆を落とす日」「弟よ!」「愛人刑事」「龍馬伝」などの構成、脚本を担当。
つかこうへい作品の演出は多数。

【主な脚本作品】
◇青山劇場「SAMURAI 7」「女信長」(原作/佐藤賢一)
◇明治座「神州天馬侠」(原作/吉川英治)「大江戸緋鳥808」(原作/石ノ森章太郎)
◇新国立劇場「AZUMI 幕末編」(原作/小山ゆう)
◇Zeppブルーシアター六本木「あずみ〜戦国編」(原作/小山ゆう)など。