vol.19「つか版 忠臣蔵」

[原作] つかこうへい  [脚本・演出] 渡辺和徳
[出演] 三咲暁人(劇団暁)・高野愛・武智健二・小川智之・仲道和樹・新澤明日・相良長仁・宮迫誠

[日程]2023年11月15日[水]〜19日[日]
[劇場]上野ストアハウス

つかこうへいの傑作テレビドラマを完全舞台化!

 今作の原作となる「つか版・忠臣蔵」は1982年の大晦日に放映されたテレビドラマです。1977年に雑誌「平凡パンチ」に“誌上劇場”と称して掲載されたのを皮切りに、1982年にテレビドラマ版、1985年には小説版が発表されました。

 今回上演する9PROJECT版では、テレビドラマ版のシナリオをベースに、雑誌掲載版、小説版の3つを再検証しながら、新たに戯曲を書き起こしました。2018年の初演では、ドラマ版の面白さをそのまま体感できる舞台として好評を博し、東京・神戸・大分の3都市で1,000名を超えるお客様にご覧いただきました。5年ぶりの再演では、初演の勢いはそのままに、さらにブラッシュアップした構成でお届けいたします!

「これから始まる物語はフィクションであり、史実、時代考証を超越し、人物関係、生活パターンを無視した現代のドラマである」とは、テレビドラマの最初に表示された注意書きです。過去の傑作を巧みにアレンジしながらも、鋭く人間を描いていく…。つかこうへいの真骨頂とも言える人間ドラマの傑作に、どうぞご期待ください。

強力な助っ人参戦!

 今回の主演には、大衆演劇の世界から劇団暁の三咲暁人さんをお迎えします! 大衆演劇に新たな風を吹き込む「新風プロジェクト」で数々の作品の構成・演出も務め、この5月には新たに座長昇進が決まっている実力派俳優。9PROJECTのメンバーとも何度も共演をしており、すっかり信頼関係を築いた仲でもあります。この“9PROJECTらしい”つか芝居をどう演じてくれるのか…今から楽しみです!

 そしてもう一人…まだつかさんが元気だった頃、JAE(当時)のメンバーとして数々の作品に参加し、9PROJECTメンバーとも親しくさせていただいていた先輩・武智健二さんが9PRO公演に初参加です! 最近の9PROJECTでは、友部康志さんがすっかり常連になっていたり、吉田智則さんに出ていただいたり…と、かつての先輩方とつか芝居をやるのが定番になってきていますが、また新たに武智さんとご一緒できるのは本当にうれしいことです。9PRO常連メンバーたちとどんな化学反応が起こるのか…ワクワクが止まりません!

STORY

「其角はんにはこの芝居で、四十七人、皆殺しにしてもらいます」

 松の廊下で刃傷沙汰が起こった。着物の裾を踏んですっ転んだ浅野内匠頭が、泡を食って刀を振り回したらしい。大石内蔵助は読み書きのできない主君のため、代わりに辞世の句を書いてくれる作家を求めて、宝井其角の元を訪ねる。さっさと切腹を済ませてお家再興を待つつもりだったが、其角はこのどうしようもない事件を“一級の美談”に仕立て上げ、芝居に掛けることを思いつく…。

 仇討ちよりも家のローンが心配な大石内蔵助。根っからの善人にも関わらず、必死に敵役を演じる吉良上野介。売れる芝居を書くためなら、男女を心中“させる”ことも厭わない近松門左衛門。

 一向に仇討ちをしない家臣たちに苛立ちながら、其角と役者たちは“忠臣蔵”を作り上げていく。其角が必死になるその訳には、近松に奪われた女・志乃への激しい慕情があった…。