9PROJECT vol.14熱海殺人事件 〜 売春捜査官」

[作] つかこうへい  [演出] 渡辺和徳
[出演]高野愛・仲道和樹・新澤明日・小川智之

[日程]2021年4月14日(水)〜18日(日)
[会場]d-倉庫

[劇場観劇]一般 3,500円 / 学生 2,500円(自由席・前売当日とも)
[ライブ配信]2,500円

[上演時間]約2時間

ABOUT

警視総監殿、今、義理と人情は、女がやっております!

 2023年4月、再演決定! vol.18「熱海殺人事件〜売春捜査官」

 9PROJECTの第14回公演は、数ある「熱海」シリーズの中でも特に人気の高い「売春捜査官」を上演します!

 1996年、大分市つかこうへい劇団の旗揚げ公演として初演。つかこうへいが初めて在日朝鮮人問題に切り込んだ作品として話題となり、1999年にはまだ日本文化の規制が厳しかった韓国で、初めて日本語での演劇公演を実施。日本文化開放の先駆けとなりました。また、男性社会の中で虐げられながらも強く立ち続ける女・部長刑事の姿は大きな共感と感動を呼び、現在も強い人気を誇っています。

 9PROJECTでは、これまで70~80年代の初期のつかこうへい作品を上演してきました。そして昨年、1973年の初演版「熱海殺人事件」を上演した際に、ここで得た知見を後期の作品に活かしたらどのような景色が見えるのか、確かめてみたいという思いが募りました。

 初演版「熱海」のラストシーンでは、部長刑事が“警視総監”に電話をかけ、怒涛の長台詞を語ります。正規に残された戯曲の中で、他に同様の台詞があるのは「売春捜査官」だけではないかと思います。大分の地で、まだ俳優経験のなかった劇団員と共に作品を作っていく中で、なぜ原点回帰とも言えるこの長台詞をつけたのか…。初演版との共通性を検証しながら、新たな「売春」を作り上げたいと思っています。

劇場における感染症対策について

公演にあたり、実施する対策をこちらのページに掲載しております。お客様へのお願いもございますので、ご予約・ご来場の前にご一読ください。

CAST

高野 愛

仲道 和樹
(劇団PATHOS PACK)

小川 智之

新澤 明日
(TEAM JACKPOT)

MAP d-倉庫

JR各線、京成線、日暮里舎人ライナー
「日暮里駅」
JR南改札口より、徒歩7分

東京都荒川区東日暮里6-19-7
TEL:03-5811-5399
URL : https://www.d-1986.com/index_d

*公演についてのお問合わせは、9PROJECTまでお願いいたします。

20年後の「熱海」へ。

 僕が最初に見たつか作品は、BSで放送していた「売春捜査官」でした。深夜のことで、さほど見る気もなく、適当なところで寝ようと思っていたにも関わらず、気がつくと引き込まれるように見入ってしまいました。
 その時、ちょうど近くの劇場で「ロマンス」がやっていたこともあり、さっそく劇場に向かい…そこからはもう、舞台も小説も次々と見ていきました。
 そしてオーディションを受け、研究生になり、最初の公演が「売春捜査官」「ロマンス」の二本立てでした。僕は「ロマンス」に端役で出させてもらっただけでしたが、「売春捜査官」も毎日先輩たちの稽古を見続けていました。この時から、全てのセリフが完璧に脳裏に刻まれています。

 半年後、正式に劇団員になり、最初に言われたことが「大分に行け」という一言でした。ずっと憧れていた、「売春」キャストの皆さんとの稽古の日々。残念ながら、力不足で一緒の舞台に立つことは叶いませんでしたが、この日々は一生の思い出です。
 大分の稽古で、役者としては「才能ない」と言われ、「お前は本を書け」と言われた僕でしたが、そんな話をした去り際、つかさんから「お前は、オレの芝居で何が一番好きなんだ?」と聞かれました。僕は迷わず「売春捜査官です」と答えました。
 たぶん、役者としての最後の花道のつもりだったのでしょう。「売春捜査官」の公演を、犯人役でやらせてもらえることになりました。(その後もズルズルと、つかさんが亡くなるまで役者は続けていましたが…)僕の劇団一年目は、この作品とともにあったと言っても過言ではありません。

 北区つかこうへい劇団では、「売春捜査官」は研究生の授業のテキストとしても使われていました。たまにレッスンを受け持って、僕が講師をすることもありましたし、そうでなくても毎年の卒業公演で嫌というほど見ます。戯曲の隅々まで読み尽くし、身に染みつき切ったこの作品…。でも、きちんと演出の立場で作るのはこれが初めてです。
 ただ単に、キッカケを再現するだけなら完璧にできます。セリフの呼吸も、音楽の上げ下げも、全てが頭に入っています。でもそれは、9PROJECTのやり方ではありません。この身に染みつき切ったイメージを払拭し、新鮮に戯曲に向き合うことができるか…それが何よりの課題です。

 そして何よりも、僕たちには2018年、2020年と上演してきた、初演版「熱海殺人事件」の知見があります。「熱海」の原形から、20年後の「熱海」へ…。原形を知ったからこそ、新たに向かい合える「売春」があると思うのです。
 「売春捜査官」にも、いくつものバージョンがありますが、大分市つかこうへい劇団で全国公演をしていた当時の戯曲を使用します。いつも通り、戯曲の脚色はありません。あくまでも真っ直ぐに戯曲に向き合い、今の自分たちだからできる作品の姿を見つけていきたいと思っています。

 今年は、メンバーの高野と小川がつかさんと出会って、二十年の節目の年です。その年に、懐かしき「売春捜査官」を上演することは、初心を見つめ直す良い機会ではないかと思っています。そして実は…高野と小川は…「売春」をほとんどやったことがないのです!他の人たちがやっているのを嫌になるほど見ていて、セリフも覚えているのですが、実はやっていないのです!

そんなメンバーたちによる、新たな「売春」の誕生にどうぞご期待ください!

演出=渡辺和徳

STAFF

作=つかこうへい
演出=渡辺和徳

舞台監督=久保田智也
照明=清家玲子
音響=内藤勝博
宣伝写真=堀内亮太

協力=(株)つかこうへい事務所/劇団PATHOS PACK/TEAM JACKPOT

演出/渡辺和徳

1978年、東京都生まれ。
北区つかこうへい劇団に入団後、つかこうへいに文才を認められ、氏のもとで作・演出を学ぶ。
2003年、少年隊ミュージカル PLAYZONE「Vacation」で脚本業を開始。以降、演劇作品の脚本、演出を数多く手がける。

【つかこうへい原作作品】
「二代目はクリスチャン」「広島に原爆を落とす日」「弟よ!」「愛人刑事」「龍馬伝」などの構成、脚本を担当。
つかこうへい作品の演出は多数。

【主な脚本作品】
◇青山劇場「SAMURAI 7」「女信長」(原作/佐藤賢一)
◇明治座「神州天馬侠」(原作/吉川英治)「大江戸緋鳥808」(原作/石ノ森章太郎)
◇新国立劇場「AZUMI 幕末編」(原作/小山ゆう)
◇Zeppブルーシアター六本木「あずみ〜戦国編」(原作/小山ゆう)など。